『経済学者たちの戦い(増補版)』
- 作者: 若田部昌澄
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2013/05/24
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カンティロン、ミル、ヒューム、スミス、リカード、ヴィクセル、ケインズの業績を紹介するという体裁。しかし彼らの戦いは敗北の連続であるという。
経済学史の専門家らしい著作であるが、そこには1990年代から続く日本のリフレ派の論争が重ねられていることは疑いない。そしてアベノミクスを機に改訂された増補版には「リフレ戦記」と題する補論が付け加えられている。その名の通りリフレ派経済学者たちの足跡である。彼らが正しいかどうかはあと2年もすれば結論が出るだろう。
なおこの増補版は故岡田靖氏の追悼企画でもあるらしい。
『ゼロ金利との闘い』
- 作者: 植田和男
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2005/12/01
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1998年から2005年まで日銀政策委員会審議委員をつとめた植田先生の総括。
筆者の推計によると時間軸政策については効果はあり。しかしデフレを脱してもしばらくは政策金利を上げないというコミットメントは、日銀が信用されていないと意味をなさない(結果的には日銀は裏切ったわけで、リーマンショック後のしつこいデフレはこれが主因であろう。これを覆すのに岩田規久男氏の副総裁就任は必要なことだったと私は思う)。
リスク資産の買い入れは1990年代終わりの金融システム危機においては流動性の供給という点では貢献があった。ポートフォリオリバランスや時間軸政策の強化といった効果があったかははっきりしない。量的緩和についても同様。
以下感想。
戦後、先進国が経験しなかったタイプの金融危機、デフレの中で日銀が手探りで政策決定を行なってきたことが伝わってくる。特にさきがけとか社会党のグダグダ、橋本龍太郎の緊縮政策など、政治がどうしようもない情況でよくやったともいえる。後から見れば拙いことこの上ない日銀の政策運営であったけれども。他国の中央銀行はこうした日本の経験に十分学んでリーマンショックに対応したが、当の日銀は間違いを認めることができないために失敗した。
『ケインズとカレツキ』
- 作者: 鍋島直樹
- 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
- 発売日: 2001/10/30
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ポストケインジアンの源流とされるケインズおよびカレツキの経済学、思想、政治観などを概観する。ポストケインジアンとニューケインジアンが似て非なるものだということがやっとわかった。似てるのは短期的な不安定性についての認識で、長期については前者は不安定性は資本主義に埋め込まれていると考えるのに対して、後者はそうだったりそうでなかったり。NKといえどPKから見たら新古典派の枠内なんだなと思った。
それと貨幣供給が内生的か外生的かとか、貨幣数量説が成り立つかとか。ここらへんについていずれ詳しく勉強してみたいと思う。
『夫婦格差社会』
- 作者: 橘木俊詔,迫田さやか
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/01/24
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こないだからアンチフェミ界隈で話題の本。
夫の所得が多いと妻の就業率が下がるというダグラス有沢第2法則が消えつつあるというのがテーマ。で、高所得な夫の妻が働く場合は妻も高所得であることが多いという。つまり結婚、共働きにより格差が拡大するという恐ろしい現実である。私の周りの医者たちが女医と結婚することが増えていることからもわからんではないけどね。
そして低所得な夫婦はまだよくて、低所得だと結婚はおろか交際経験すらない人間がかなり多いというのもまた衝撃である。
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神宮球場に阪神ヤクルト戦見に行ってきました。
開幕カードで見に行けるの今日しかなかったんだけど、ラッキーなことに先発は藤浪投手でした。
しっかりと投げられたときの速球はもはや高卒ルーキーではないものの、三塁側から見てもはっきりわかるくらいのボール球が多くて序盤は苦しい展開。いつ炎上してもおかしくなかったけど要所で三振をとれるのはさすがだった。まあ初回にいきなり良太がエラーして波に乗れなかったってのもあるだろう。4回以降は立ち直ってスイスイ。それだけに6回に一発もらったのはもったいない。あと簡単に走られすぎのような気もした。
攻めるほうは昨日と同じで見殺しモード。藤浪のテンポが悪かった序盤はともかく、4回以降はなんとかしてほしかったな。足を絡める場面とかほとんどなかったし。これじゃ去年と同じあと一本病ですやん。なおヤクルト先発の八木投手は崩れそうで崩れずでした。スローカーブでカウント稼げるのがよかったな。