どうも、私の出身高校の生徒が自宅に放火して家族を死なせたようである。
テレビには相変わらず、したり顔でわかったようなことを言う連中が出演している。
あの高校には、親を殺したり自分の家に火をつけそうな奴なんかいくらでもいた。もしかしたら俺もそういう一人だったかもしれない。今も昔も日本全国そんな少年はいくらでもいるだろう。
だが、ほとんどの人間は実際にはやらないのである。語るべきは、実行してしまった人間がなぜやってしまったかではなく、なぜほとんどの人間はやらないかということである。
テレビの奴らは得意げに少年の過去を暴きたてている。だが、いくら過去を発見しストーリーを捏造しても意味がない。どんな人間にも過去があって、揚げ足取りの材料には事欠かないのである。
それよりも、どうして多くの人間は実行しないのか。単に一線を越える度胸がなかったのかもしれない。あるいはエロ本やホラー映画や受験勉強に救いを見出すのかもしれないし、見出さないかもしれない。
私は、ブロンソンやマックイーンやヘヴィ・メタルに救われた。だから今もそれらを愛している。押井守に出会うのはもう少し後のことである。

成績低下で「全部なくしたかった」…奈良放火殺人 (読売新聞)
 奈良県田原本(たわらもと)町の医師(47)方が全焼し、妻子3人が死亡した放火殺人事件で、逮捕された私立高校1年の長男(16)が、県警田原本署の捜査本部の調べに対し、放火した理由について、「自分の身の回りのものをすべてなくしたかった」などという趣旨の供述を始めていることがわかった。

 県警は、両親と同じ医師になることを過度に期待され、プレッシャーを感じていたという長男が、家庭内で孤立感を募らせた結果、異常な破壊衝動に至ったとみている。

 小学校時代から成績優秀だった長男は、性格も明るい人気者だったが、奈良市中高一貫進学校に入学後は、成績が振るわず、教育熱心な父親からたびたびしかられていた。次第に口数が減り、友人らに「父がうるさい」と不満を漏らしたこともあったという。