各方面で評判の悪い初期臨床研修です。
これはやはり難しい制度です。
昔大学では、この制度導入直前のことであるが、雑用してくれる研修医がいなくなるのではと危惧していた。
だが俺のオーベンは違っていた。
「雑用してくれないなら俺がするからいい。だが教えたい、というモチベーションを維持するのは難しくなるだろう。教えるのには大変なエネルギーがいるんだよ」
とのことであった。俺は当時1年目の外科研修医だった。
今このことの意味を噛み締めている。ころころとローテートしてくる1年生、2年生を教えるモチベーションもエネルギーも一切ありません。いや、教えなければいけないことはあるんだけど、正直言って自分のことで精一杯です。他の同僚やオーベンも似たようなもんだな。外科学に興味の無い人間にも教えなくてはいけないのは皆、承知しているのだが面倒くさいです。かくして彼らはお客さんになります。彼らが悪いわけじゃない。教育システムや受け皿になる病院を整備しないで見切り発車した厚生労働省が悪いんだ。医師としてもっとも重要な最初の時期のうちの2年間をお客さんとして過ごすことの社会的損失は今後明らかになるかもしれないし、ならないかもしれない。少なくとも効率良く、1人前の医者を作るという点からは失敗だと思う。