『ロッキー・ザ・ファイナル』
僕はそろそろスタローンが『ロッキー』を書いた歳になるんですけど、最近なんだか歳を取るのが怖くなってきた。若さを失ったら何もできなくなるんじゃないかっていう恐怖。
だがスタローンは違っていた。あのときからさらに30年たっても挑戦することをやめないのである。年齢が増えたって関係ない、挑戦する心をいつまでも持ち続けられるかどうかなんだ。笑いたいやつには笑わせておけばよいのだ。
『ロッキー6』の制作が決まったとき彼のことを笑ったやつがいた。いや、俺もちょっと笑った。
試合中に息子ロバートが言った。「父さん、もう笑っているやつはいないよ!」
彼のことを笑った自分を少し恥ずかしく思った。ガキのころからのヒーローであるスタローンの挑戦を誇りに思えなかった自分は、父親の心意気をなかなか理解しなかった情けないロバートと同類だった。
リングからロッキーが退場する時、ロッキーも試合会場の観客も映画館の観客もみんな判っていた。判定の結果がどっちに転ぼうが関係ないって。ただただロッキーとスタローンの挑戦に感動したのだ。俺は泣いた。