はい、日本消化器外科学会総会ですよ。京王プラザですよ。
午前同期に遭遇してウダウダ。ランチョンは退屈なのをひいちまっただよ。
その後今回の目玉であるところの小松秀樹先生の特別講演を拝聴。
演題は「医療を崩壊させないために」であった。

小松先生の論は要約すると以下のごとくである。
法律はドイツ観念論からきた演繹によるもので、それは現場の理屈と齟齬をきたしている。
すなわち科学・専門知識の発達により個別分野で現場レベル・専門家レベルでコンセンサスができており、司法はこれに対応できていない。
医療レジーム・航空レジームといった専門家のコンセンサスと司法レジームはかみあわず時に対立する。
小松先生はこれをニクラス・ルーマンとかその他の偉い人らを引用して説明されていた。
司法は、現場や専門家の知識から帰納して自らの思考の枠組みを組み立てるべきではないかということである。
その他に、現在死因究明制度が拙速に議論が進められていて危機感を抱いているとかup to dateな話題もあったかな。
さらに医療は今こそが歴史の転換点であり、これはチャンスでもあるし知的にも大変面白い情況であることを強調さていた。

個人的には医療崩壊は避けがたいと感じている。
また小松先生も日経メディカルのインタビューでそのようなことをおっしゃっていた。
しかしそれでもまだ俺たちにはやるべきこと、できることがあると思う。
俺のような下っ端であれば、労働条件の改善を要求するとか、医師に負担がかかりにくいような診療システムを作るとか、合併症がおこりにくい手術を考えるとか、合併症がおこっても致命的なことにならないようなシステムを作るとか・・・
小松先生のような偉い人であればそれこそやることは沢山あるにちがいない。

ニクラス・ルーマンは読んだことがなかったな。
学生のときには社会システム論にも触れたいと考えていたが、ついぞ読むことはなかった。
今こそその時なんだろうか。