『編集者という病い』見城徹

編集者という病い

編集者という病い

見城徹という人のことは、かつては角川春樹の右腕であった辣腕編集者で、村上龍ら著名作家と親交があり、その人脈をもって角川書店を飛び出して幻冬舎を設立、数年前にはJASDQ上場を果たした、という程度のことしか知らなかった。

でまあその人が本を出したというので買ってみたのである。
内容は過去のインタビューやエッセイの寄せ集めで書き下ろしはほとんどなし。だから同じエピソードが何度も紹介されたりする。手抜きもいいとこである。

だが、この人が常識外れた努力とか仕事をしてきたということはよくわかった。共同体への違和感と劣等感に裏打ちされたエネルギーに少し圧倒された。

俺だってかつてはそういうネガティブなエネルギーは持っていたはずだが、いつの間にかどこかへやってしまったな。誰だってそういう要素はいくらか持っているのだろうが、それを維持しつづけるのはごく一部ということである。