今年もマスコミ様のおかげで医療関係者は叩かれたものである。
その他にも、総理大臣、相撲取り、食品関連、バイアウトファンド、ボクサーなどなどがオラオラと叩かれまくった。

敬愛するDersu氏のブログから引用する。

日本は武士道の国だと無邪気に思いこんでいたが、どうもこれは違っていたのかもしれない。

今年も、力士やボクサーや芸能人や政治家や柔道最高!などのいろいろな人たちが国中から叩かれた。食品関係もいろいろあったな。これは別に何の裏づけも根拠もない感覚でしかないのだけれど、その叩き方がここ数年明らかに激しくヒステリックに、そして露骨になってきたような気がする。

これら「叩き」を行なう動機が義憤などという小綺麗な感情でないことは、実は誰でも知っていることだろう。嫌いだから叩く、あるいは叩きたいから嫌いになるだけだ。義憤なら心おきなく叩けるから、そう装っているだけにすぎない。ぼかーギフンなんて信じない。

なんのことはない、これはいじめだ。表向き義憤を装うところまで、子供のいじめそっくりだ。こんな国で、子供のいじめがなくなるわけがない。

私も日本は武士道の国と思っている。日本人の美質は勤勉、己に対する厳しさであると思う。
これが世界に冠たる製造業を作り上げたし、医療においてもWHO様から世界一とのお墨付きをいただいている。
ただしこの厳しさが他者に向けられたとき徹底した不寛容となる。つまりいじめとか叩きになる。

今度はhttp://ameblo.jp/993c4s/entry-10061478724.htmlから引用。
今年ではないけど耐震偽装叩きの結末は、

建築基準法改正による、住宅着工の急減。

と同時に、金融庁による、不動産担保ノンリコースローン証券化商品(REIT/CMBS)に対する、理不尽なまでのモニタリング強化要請による、ファイナンス面の締め付け。

金融商品取引法施行による、リスクマネーの市場への流入の阻害。


耐震偽装を二度と起こさない」とか。

「不動産バブルを未然に防げ」とか。

「リスクをローンオリジネータから第三者に移転する証券化商品は、ダンボール饅頭だ(古いね)」とか。

個人投資家を、悪徳業者から守れ」とか。


どれをとっても、「素晴らしい」政策なのだが。


0か1しかなくて、その中間がないような、デジタルな判断しか出来ない木っ端役人と。

有権者に迎合することしか考えない、衆愚政治家がタッグを組んで。

机上の理想論にのみ依って、実務を知らずに政策立案・実行すると。

とまあこういう官製不況とかコンプライアンス不況とかいった情況になっておるわけですな。
さらにぐっちーさんのブログから引用。

確かに食品の偽装問題や、賞味期限のごまかしは許されることではないでしょう。しかし、なぜ賞味期限ごときを政府頼りにしなければならないのか。この問題で騒ぎすぎることで、遂に政府は「生活安全プロジェクト」をつくるというではないですか。これにも税金が投入されるんですよ。また新たな役人の職場ができて担当省から天下りの役人が来て、ブラインドで1億の退職金を取っていく。

この国の国民はほんとに楽勝だ、と政治家も役人も思っているに違いありません。だって、目、鼻、口、舌を駆使すれば、腐っていたらだれでも食べないでしょ? 自分で判断して大丈夫だと思えば食べればいい。間違ってそれで腹を壊したって、数日で治るって。

ぐっちーのいる金融市場も今回の金取法の改正で、すさまじいことになっています。片や年金だけでは食えない世代に対して自由な投資も許さない、という法律が一体まともな法律だと思われますか? どうやって食え、というのでしょうか。 事件になっているマルチ商法を見てください。だまされるような代物ではありません。自分の頭で考えないからこういう結果になるだけです。

ハイ、お疲れ様です。アルファブロガー受賞おめでとうございます。

私どもの業界でも萎縮医療の進行を肌で感じます。
叩かれることを恐れる医療従事者は委縮してしまい、リスクのある症例には手を出さなくなるのです。あるいはやるだけやったという証拠作りのために過剰な検査や処置をしてしまいます。あ、これは防衛医療ですな。
当院は県内の最終病院なので、また外科系や麻酔科には冒険者が多いので委縮などしていないが、県内の中小規模の病院は萎縮しているような印象を受ける。
たとえば急性虫垂炎、ヘルニア嵌頓といった緊急手術(緊急性はあるけど手術の難易度は低い)がなんでもかんでも当院へ搬送されてくるようになった。おいおいそんなのそっちでやってくれよ。
予定の癌の手術であっても少しでもリスクのある症例では「家族が貴院での治療を希望され・・・」などといって送ってくる。
あるいは寝たきりの超高齢者が調子悪ければ「御加療のほどよろしくお願いします」と送ってくるよ。おたくで看取ってあげてよと言いたくなる。医療経済的にはそのような超高齢者に濃厚医療をするのはよろしくないが、うっかりすれば叩かれてしまうので精一杯(高価な薬や材料使いまくり)の診療をしなければいけない。

今年最も医療従事者が叩かれた事件といえば奈良流産騒動でしょうな。
これはYosyan先生の以下のエントリーが詳しいですね。アルファーブロガー当選おめでとうございます。

http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070902
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070830


それから現在進行中の案件は医療事故調査員会設立の件でしょうね。

要するに、医療事故で人が死んだら、医師や看護師を刑事責任を追及できるような組織を作ろうということです。そんなことになったらリスクの高い医療をする人がますます逃げ出してしまう。
また厚生労働省の皆様におかれましては新しい天下り先ゲットできて嬉しいということですな。