「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案−第三次試案−」

厚生労働省が医療事故の原因究明・再発防止の新しい仕組みとして「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案−第三次試案−」をまとめ、これについてのパブリックコメントを募集されていますな。

「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案−第三次試案−」に対する意見募集について


これまた締切が5月7日なのにはまいりますが、大事なことなので文章を作成中。明日にはメールで送信できる。


ちなみに私の所属する学会のうち最も重要な消化器外科学会も反対を表明するようだ。Good Job!

消化器外科学会も第三次試案に反対


とまあそんなわけで私もショボいですが草稿中でありまする。



私は、この第三次試案に基づいて、医療事故について分析・評価を専門的に行う機関を拙速に制度化することに、明確に反対します。
 一番の問題点は、刑事訴追の可能性が明確に否定されていないことです。刑事訴追の可能性があれば、再発防止や医学の発展に向けた調査・議論は行われにくいと思われます。基本的人権のひとつである黙秘権を行使せざるをえないからです。
 また届け出る基準が曖昧で、どの程度の重大さなら届け出なくて良いのかわかりません。

 福島県大野病院事件以来、多くの臨床医は、良かれと思ってしたことでも結果が悪ければ逮捕されかねないという恐怖とともに仕事をしています。そういう状況で、刑事訴訟の資料にされかねないような調査をする機関が設立された場合、この恐怖心はさらに増悪すると予想されます。この恐怖心から逃れる唯一の方法はハイリスクな診療に参加しないことですので、いっそうの委縮医療および医療破壊が進むと思われます