at 7号

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特集は砂糖である。バイオエタノールの原料であり、また有力なコモディティである。
フィリピンの農園の悲惨な労働状況などなど。砂糖の先物のトレードにはあまり役立たないような内容。


佐藤優氏による柄谷行人著『世界共和国へ』の解説は面白い。実践的かつ平易。柄谷氏の暴力やテロルへの忌避反応を指摘している下りが刺激的。


上野千鶴子氏の論考は協セクターによる介護について。介護系NPOが有償であることは、非営利団体としてどうなのかというお話。有償といっても極めて低料金なのであって、ここで介護は女性向けの仕事であるから低料金であり、だからこそNPOの参入が期待されるのではないかと過激な指摘をなさるところが素敵であります。
もうひとつの協セクターである生協による介護である。実は生協に加入しているのは学歴経済的に階層が高い人たちで、地域から浮いているのである。しかし福祉に関してのみ「員外利用制限の廃止」がなされ生協福祉は飛躍的に拡大した。
結論としては協セクターによる介護は、民や官セクターに比べて比較優位に立つということである。


柄谷氏の論文では交換様式のひとつである互酬システムについてである。モースとかブーバーとかをてがかりに考察を繰り広げるが、アニミズムまで登場してよくわかんなかった。このシステムは未開社会で支配的な原理であるが、資本主義や専制国家によって消滅するわけではない。宗教に形を変えて持続するのである。