クォータリー「あっと」9号

クォータリー「あっと」9号

この号はバナナの特集。あまり印象に残らず。

上野千鶴子氏の連載『ケアの社会学』は協セクターによる介護の一つとしてワーカーズコレクティブを紹介。
担い手が出資し働くというものである。一歩間違えたらネズミ講ですね。
その労働は極めて低い報酬で行われる。それは、自分がいつ利用者になるかわからないこと、「金のためにやっているのではない」というプライドのためと解説されている。だから副業としてあ、あるいは専業主婦の社会活動としてしか成り立たない。また代表はボランティアにちかい労働を要求される。公務員給与の形で税金が投入される官セクターに比べ経営面ではかなり不利である。

柄谷氏の論考は、専制国家の成り立ちについて。
専制国家があるためには高度の官僚制が必要である。官僚制があれば、征服により支配者が交代しても搾取・再分配という交換様式は持続する。王が超越的支配者であるために宗教がビルトインされており、再分配がこの超越性を強化する。

アジアでは専制国家=官僚制=収奪・再分配が古くからあったが、ヨーロッパでは都市国家=封建性=互酬制から専制国家への移行が中世以降であった。