『ルワンダ中央銀行総裁日記』

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)


ルワンダという国のことは『ホテル・ルワンダ』という残虐な映画でしか知らなかった。

ここで描かれるのはそのもっと前の時代。独立後の開発援助のために日銀の服部正也氏が派遣された時のことを書いたものである。

貧しい国の経済が立ち上がっていく様子がよくわかる。服部氏はそのために中央銀行総裁の枠を超えた超法規的な活躍をされるのである。為替相場の一本化、財政均衡、乏しい外貨準備のやりくり、自由競争を促すためのインフラの整備などなど。

このような貧しい国の場合、自由な市場がなかったり、そもそも物資が不足していたりで簡単にインフレになってしまう。外貨準備もなくて輸入もままならない。物があふれていて、通貨が強く、市場が発達しているために物価がどんどん下がる日本とは正反対だ。それから発展のためには人と教育が大事だということがわかる。簡単な簿記もできないものだから本国では使いものにならないようなダメ外人に頼らざるをえないし、良い教育を受けようと思えば留学するしかない。だから最近の日本人が留学しなくなるのは当たり前で、日本で十分良い教育が受けられるからである。

教育の発達していなかったことが、服部氏が去った後にひどい内乱がおこった遠因かもしれないなと思ったりもした。