搬送拒否

いまどき、妊婦の救急なんて産婦人科医以外は関わりたくない。いまどき、脳出血なんて脳外科医以外は関わりたくない。専門外の医者が下手に手を出して結果が悪ければ人生を失うからである。
この妊婦は、妊婦かつ脳出血という、致命的なまでに関わりたくない指数が高かったのである。というか病態そのものも致命的ですが。気の毒としかいいようがない。
搬送拒否した20弱の病院の関係者は今ごろ胸をなでおろしているに違いない。うっかり受け入れていたら、自分の人生を台無しにするところだったのである。このような症例は受けた時点で負け戦、良くても民事訴訟で大金を持っていかれ、悪ければ逮捕&前科者の勲章をゲットすることになる。
ひと昔前なら、どこかの愚か者か猛者が引き受けていただろうが、マスコミや一部の勘違いした患者様や裁判所が、そういう人たちがやる気を失くすような世の中にしてしまったのである。
数ヶ月前に奈良県の中核病院で診断超困難な羊水塞栓だかDICだかを見抜けなかったことで刑事告訴されたが、その事は確実に今回の事象に影響している。
今回もマスコミは視聴率優先の無知蒙昧な報道をして、産科医療の崩壊に一役買ってくれているようである。
最後に、この妊婦を受け入れた国立循環器病センターの皆様の勇気を称えたい。さすが天下の国循だ。国循の関係者が今回のことで民事やら刑事やらの面倒なことに巻き込まれないことを切に願う。

“受け入れ拒否”警察が捜査へ

奈良県大淀町の町立大淀病院で、出産中に意識不明になった女性の手術ができる受け入れ先がなかなか決まらず、
脳内出血で死亡した問題で、奈良県警察本部は、最初の病院の処置のミスが死亡につながった疑いもあると見て、
業務上過失致死の疑いで捜査する方針です。

奈良県大淀町の町立大淀病院では今年8月、高崎実香さん(当時32)が出産中に意識を失ってけいれんを起こ
し、緊急手術ができる病院に受け入れを打診したものの19の病院に断られ、約6時間後に運び込まれた大阪の
病院で、出産後に脳内出血のため死亡しました。
担当した大淀病院の産科の医師は女性の症状を陣痛から来るけいれんと判断し、内科の医師から「頭に異状が起
きている疑いがある」と指摘されても検査を行わなかったということで、病院は「結果的に判断ミスだった」と
認めています。これについて警察は、こうした大淀病院での処置のミスが死亡につながった疑いもあると見て、
業務上過失致死の疑いで捜査する方針を固め、今後、病院の関係者や遺族らから事情を聴くとともに、病院側に
カルテなどの提出を求めることにしています。