『ファーゴ』

ファーゴ [DVD]

映画秘宝」先月号の「イエスタデイ・ワンス・モア」で取り上げられていたのだが、「イエスタデイ・ワンス・モア」に取り上げられるような映画で俺が見ていないのがあるとは衝撃的だったぜい。というわけで借りてきて見ました。

なんとも居心地の悪い映画だ。居心地が悪いのは、ワリアム・H・メイシーにどう対処していいか判らなかったからである。

彼のダメサラリーマンぶりや胡散臭い営業スマイルには、同情と怒りと軽蔑を覚える。身近にこんな人がいたら軽蔑するだけで終わりだが、この映画での描かれ方はそんなに単純ではない。彼を見下してやまない義父がブシェーミにブチ殺されるシーンではザマぁ見やがれと思ってしまうのは、メイシーに同情しているからであろう。

マクダーモンドもまた、良く判らない感じである。良き妻であり良き田舎者である彼女は、腹ボテで着膨れして動作は緩慢、愛らしくもあり、このウスノロめが!と軽蔑したくもなる。だが実は刑事コロンボ並みの切れ者であったりもする。

このように単純な感情移入を許さない人物像は、気持ち良かったり、だから何なの?と突き放したくなったりもする。