奈良県の田舎の公立病院のベテラン産婦人科医師が怠慢から患者を失ったかのような記事を書いた毎日新聞奈良支局の青木記者は、多くの医療関係者と一部の妊婦さんの恨みを買いました。ベテランの産婦人科医と内科医が必死で対応したにも関わらず失われた患者、たとえ大病院であっても救命できたかどうか判らない症例について事実誤認とカルテ誤読に基づいた記事を書き、奈良県南部の周産期医療を決定的に破壊してくれたわけです。

ネット上では医療記事にかかわらず、全般的に新聞・テレビのようなマスコミは信用されていないし、笑いものにしかなっていないが、現実に1地域の周産期医療を破壊したとあっては笑い事ではすまない。

その功績に対して業界団体は青木記者を表彰したそうです。

新聞労連 毎日新聞報道が特別賞で表彰される

毎日新聞 1月25日9時52分

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070125-00000013-maip-soci


 新聞労連の第11回ジャーナリスト大賞の表彰式が24日、東京都千代田区であり、特別賞を受賞した毎日新聞奈良支局・大阪科学環境部取材班の「『奈良・大淀病院妊婦死亡』をはじめとする全国の母子救急医療搬送システムの未整備を問う一連のスクープと検証キャンペーン」などが表彰された。


 毎日新聞の報道について選考委員の柴田鉄治・元朝日新聞社会部長は「今のジャーナリズムは発表に頼りがちだが、支局の若い記者たちが必死に駆けずり回って事実を掘り起こした躍動感が伝わる」と評価。井上朗・毎日新聞奈良支局長は「頭数も経験も少ない地方支局でも、全国に流れるニュースを発信できることを示せた」と話した。
 式ではこのほか、大賞に選ばれた東奥日報の「Xバンドレーダー取材班」などが表彰を受けた。


そんでもって、昨年の福島県立大野病院産婦人科医師逮捕問題の裁判が始まったようです。
最善を尽くして患者を失った症例で逮捕は無茶苦茶であると、関連団体から非難轟々のこの1件ですが、どういう決着になるかしら。ほとんどの医師は無罪を確信しているけど、トンデモ裁判官にかかればどうなるか判ったものではない。

うわさによれば、検察官は学生向けの教科書「STEP」を参考にしているらしい。このシリーズは、出来の悪い医学生のために作られたもので、コンパクトで判りやすい傾向があります。国家試験対策本としてはなかなか良いものですが、実地臨床に役に立つようなものではない。ましてや出来の悪い検察官や裁判官が参照するとなると、どんな結果になるかわかったもんじゃないよね。

きょう地裁初公判 過失有無で全面対決、被告の判断が争点 大野病院医療事故

記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2007年1月26日】
大野病院医療事故:きょう地裁初公判 過失有無で全面対決、被告の判断が争点 /福島

 県立大野病院(大熊町)で04年、帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(39)=休職中=の初公判が26日、福島地裁(大沢広裁判長)で開かれる。加藤医師の逮捕・起訴に対して全国の医療関係者からは反発の声が上がっており、産婦人科医の減少にも拍車をかけたと指摘される中、裁判の行方に注目が集まっている。【松本惇】

 起訴状によると、加藤医師は04年12月17日、帝王切開の手術中、はがせば大量出血するおそれがある「癒着胎盤」であると認識しながら、子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがし失血死させた。また、異状死と認識しながら、医師法が規定する24時間以内の警察署への届け出をしなかった。

 起訴事実に対し、弁護側は「加藤医師に過失はなかった。無罪を確信している」と全面対決する姿勢を示している。検察、弁護側双方は昨年7-12月に6回にわたって行われた公判前整理手続きで協議を進め、争点を絞った。

 最大の争点は「癒着胎盤のはく離を中止すべきだったか」。検察側は「癒着胎盤と分かった時点で、大量出血を招かないように胎盤のはく離を中止し、子宮を摘出すべきだった」と指摘する。これに対し弁護側は「止血をするために胎盤をはがすことは臨床では当然のことで、出血を放置して子宮を摘出するのは危険だ」と主張する。このほか、癒着胎盤の程度や大量出血の予見可能性医師法に基づく異状死の届け出義務なども争点となった。