『華岡青洲の妻』

華岡青洲の妻 [DVD]


華岡青洲は世界で初めて全身麻酔下に手術を行った人物であり、外科医、麻酔科医にとっては記憶しておかねばならない人名である。

これは彼の妻と母を題材にした有吉佐和子の小説の映画化である。青洲を演じるのは我らが市川雷蔵である。妻は若尾文子、母は高峰秀子である。

雷蔵の医師としての執念が凄い。そして嫁姑の執念はもっと凄い。男盛り、女盛りの雷蔵若尾文子を蹴散らす、高峰秀子は凄過ぎる。

麻酔薬の実験台にされて、死んでしまったり、ヘゲヘゲになってしまった猫は雷蔵の執念そのもの。それを超えてゆこうと人体実験に挑む嫁姑が凄いのである。雷蔵への愛の証を立てるためには、あの猫たちのようになることも厭わぬという決死の覚悟が俺を震え上がらせた。

医者カップルが増える今日このごろ、この男女の生き様は俺にとって衝撃的だった。