本日話題になっていたこと。



主題2。大腸の多重癌。

基本的に多発癌は、単発癌と同じ対応で良い。

多重癌は潜在的には10%以上の頻度と推測される。

重複癌はけっこう多い。大腸癌術前にルーチンにGIFを行うことは妥当である。
多いのは、胃癌、肝癌、食道癌、肺癌、乳癌など。GIFと胸腹部CTでこれらはスクリーニングできる。つまり大腸癌の重複癌のうち8割程度カバーできる。FDG-PETは胃癌には無力なので医療経済的にみても妥当とはいえない。

HNPCCについては、本邦の場合は、HNPCC関連腫瘍に胃癌を含めるべきである。胃癌を含めることで初めて拾い上げられるHNPCC患者が相当数存在する。つまり感度が上がる。ただし偽陽性も増える。

多重癌と関連する因子は、家族歴ありぐらいである。年齢や性差はnの多い報告では統計学的に有意な因子にはなっていない。多重癌の特徴はHNPCCと重なっており、単に多重癌と報告されているものの中にかなりのHNPCC患者が紛れ込んでいる可能性がある。若年発症の大腸癌患者は全て遺伝子検査をすべきという者もいる。


主題1、転移再発大腸癌の治療戦略。

FOLFOXの登場で進行大腸癌でも手術に持ち込めるケースが増加している。
特に肝転移は有望である。
肺転移は2個以下でサイズが小さければ手術により予後が改善する可能性が示唆されている。
腹膜播種は、P1あるいはP2で、かつCY0ならば個数に関係なく手術のメリットがあるかもしれない。
直腸癌の局所再発は、TPEまでの手術でR0にできるならば長期生存の可能性がある。TPEよりも大きな手術はもはや行われないだろう。