『失敗の本質』

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

大日本帝国軍の敗戦を6つの作戦の研究を通じて分析。

陸軍は「白兵銃剣突撃」、海軍は「艦隊決戦主義」に固執しすぎた。
日露戦争の成功から一歩も抜け出せなかった。

短期決戦志向で不成功時のプランBがなかった。

精神主義重視で兵站を軽視した。
これは海軍も同様であった。
潜水艦は主に軍艦を狙っていた。欧米では商船や輸送船が標的であった。
海戦において輸送船をしばしば打ち漏らした。
陸軍の海上輸送の護衛に積極的でなかった。

統制があいまいで、「あうんの呼吸」や下剋上が頻繁であった。このため意思疎通不十分、作戦目的があいまい、といったことがおこり、必要以上の被害をおよぼした。

装備は一点豪華主義で、量産に向かないものであった。将兵の錬度は極めて高かったが、ベテラン兵が少なくなるにつれ、上等な兵器を使いこなせなくなった。

すごく乱暴にまとめると、今も昔も変わらない日本伝統の「現場は優秀だが、上がタコ」ということになる。陸軍のダメ将軍たちもかつては戦場で勇名を馳せた人たちというのが悲しいけど、「名選手が名監督になるとはかぎらない」というやつですね。

なんかとても日本の急性期病院の現状と重なる部分が多かったなあ。オーベンの皆さんの多くは奴隷労働の中、一人前になった人たちなので、それ以外の情況は想像できないんでしょうね。