『ゼロ金利との闘い』
- 作者: 植田和男
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
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1998年から2005年まで日銀政策委員会審議委員をつとめた植田先生の総括。
筆者の推計によると時間軸政策については効果はあり。しかしデフレを脱してもしばらくは政策金利を上げないというコミットメントは、日銀が信用されていないと意味をなさない(結果的には日銀は裏切ったわけで、リーマンショック後のしつこいデフレはこれが主因であろう。これを覆すのに岩田規久男氏の副総裁就任は必要なことだったと私は思う)。
リスク資産の買い入れは1990年代終わりの金融システム危機においては流動性の供給という点では貢献があった。ポートフォリオリバランスや時間軸政策の強化といった効果があったかははっきりしない。量的緩和についても同様。
以下感想。
戦後、先進国が経験しなかったタイプの金融危機、デフレの中で日銀が手探りで政策決定を行なってきたことが伝わってくる。特にさきがけとか社会党のグダグダ、橋本龍太郎の緊縮政策など、政治がどうしようもない情況でよくやったともいえる。後から見れば拙いことこの上ない日銀の政策運営であったけれども。他国の中央銀行はこうした日本の経験に十分学んでリーマンショックに対応したが、当の日銀は間違いを認めることができないために失敗した。