今日も午前中回診です。基本的に病棟は空き気味ではあるが、この時期に外泊もできないような患者はそれなりに重症なので、こうして毎日出てきているのである。

基本的には、末期癌の患者さんには「これが最後のお正月になりますから、少しだけでも家で過ごしませんか」と外泊・外出を勧める。
中にはとてもじゃないが病院の外には出られない人もいて、そういう人は病院で正月を迎えることになる。
中には末期ではあるがまだ時間はあるという方でも、病院にいたほうが安心だという理由で外泊しない方もいる。しかし、病院にいても家にいても何かが起こるときは起こるし、末期癌の患者さんに「何か」が起こればもうお終いで、原則としてそのまま亡くなることになる。助ける手立ては基本的になくて、医者は死亡宣告以外にできることはほとんどなくて、つまり病院にいる意味はあんまり無い。したがって何かあったときに家にいたら心配というのは不合理である。病院で何かが起こるのを待っていたら、一生家に帰れないということになる。

そうすると、在院日数もやたらと長くなり、また入院費用も高くつき、そんなことは財界の皆様も厚生労働省財務省の中の人も全く望んでいないのである。残された人生の短い時間を病院、しかもホスピスならまだしも、当院のような無機質な急性期病院で過ごすのは、あまり嬉しいことでないのではないかと思うのだが、まあ人それぞれだからいいやね。