ACTS-GC−これは快挙です!−

今年の日本の消化器外科領域で最もsensationalだったことは、国立がんセンターの笹子三津留先生(現在は兵庫医科大学特任教授)たちが中心になって実施された臨床試験(ACTS-GC)の研究成果がThe New England Journal of Medicineに掲載されたことだろう。

D2郭清をした胃癌患者を手術単独群とTS-1投与群に無作為に分けて解析したところ、全生存率においても無再発生存率においてもTS-1群が有意に良かったという結果であった。生存曲線がきれいに分かれる美しいデータである。

さらに注目したいのは、3年全生存率はS-1群で80.1%、手術単独群で70.1%であって、手術単独群もけっこう良い数字であることだ。D2郭清は欧米では危険な手術だとか、予後改善に寄与しないとか言われているが、それは単に彼らが下手くそなだけということが示された。日本の胃癌外科のレベルの高さが示されたのである。

大鵬のHPにAbstractの日本語訳が載ってます。

今年はミシュランガイド東京のように日本人の優秀さが取り上げられることが多くてなんだか嬉しい。

その一方で現場は優秀でも経営がタコという議論もあった。現場が優秀だから経営がタコという議論もあった。我々の業界でも病院首脳陣や行政の対応にうんざりさせられることが多いが、きっと私たち現場の人間が頑張り過ぎるからなんだろう。でも最近は頑張り過ぎても報われない事例が増えているから最前線から立ち去る人も増えているようだけどね。