『怪帝ナポレオン三世』

怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫)

怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫)

『ルイ・ボナパルトブリュメール18日』をより正しく理解するためにはやはり歴史的な背景を知らなければと本書を手にとったしだい。

マルクスの上掲書のような左派の観方とは異なっていて、フランス近代経済の立役者として正しく評価しようという試みである。1980年代の東欧諸国崩壊以降のフランス大革命から第2帝政までを再評価しようという流れに属しているともいえる。

漁色家にして陰謀家、ボナパルティストにしてリベラリスト、優柔不断だが理想主義者。マルクスが描いたのとは全然違う、ありのままのルイ・ボナパルトを描き出そうとする著者の姿勢に唸った。