医療崩壊最前線

奈良県の田舎の公立病院のベテラン産婦人科医師が怠慢から患者を失ったかのような記事を書いた毎日新聞奈良支局の青木記者は、多くの医療関係者と一部の妊婦さんの恨みを買いました。ベテランの産婦人科医と内科医が必死で対応したにも関わらず失われた患者…

 絶滅種なのか?

http://surgeon.exblog.jp/tb/4863927上のブログ主の先生は9年目でも一番下っ端で、「絶滅種の末裔」感を覚えるらしい。私、卒後4年目で4年間ずっと雑用してますが、これからも続くのかなあ。私、約4年間、術前術後指示オーダーして入院診療計画書書いて標本…

今日も午前中回診です。基本的に病棟は空き気味ではあるが、この時期に外泊もできないような患者はそれなりに重症なので、こうして毎日出てきているのである。基本的には、末期癌の患者さんには「これが最後のお正月になりますから、少しだけでも家で過ごし…

 『ウェブ進化論』

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)作者: 梅田望夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/02/07メディア: 新書購入: 61人 クリック: 996回この商品を含むブログ (2353件) を見る色々なブログでお奨めされていた本書、やっと読んだ。さ…

午前回診。 今日は待機じゃないけど、ほとんどのオーベン・同僚が休暇を取ってしまったため、実質的には拘束されているのと同じだ。セカンドコールってやつですな。 それで他院から「年末年始は人手不足で診れません。家族も貴院での加療を希望されています…

夜は緊急入院で呼び出されちまった。保存的の症例だったがな。こんな感じで今年も終わっていくのね。 今年は、やはり福島県大野病院産婦人科医不当逮捕が衝撃的でしたなあ。真面目に死ぬほど働いていても、結果が悪ければ逮捕されちゃうんだねえ。逃げも隠れ…

 おおばかやろう

今日の日経に、佐和隆光という経済学者風の人物のインタビューがのっていたのさ。 彼が言うには、「医療訴訟が医師を淘汰する」とのこと。インタビューアーが「日本は保険診療だから医師の差別化が難しいのでは?」との質問にこう答えやがった。淘汰されるべ…

  臨床研修制度の失敗その2

俺は1年目の時からずっと手術記録を書き続けている。これは本来なら下っ端の仕事なので、そろそろ免除してほしいのだが、いまだに書き続けている。あの忌々しい臨床研修制度のおかげで、いまだに私は最下層なのである。初期臨床研修医という名のローテーター…

トンデモ医療訴訟判決が量産されており、もはやフォローしきれない。 ほとんどは民事だからまあいいんですけど、心が折れますね。 それでも本日もお仕事です。 午前回診。 午後ラパ腸。 それでも手術は楽しいから、仕事は続けるけどね。いつまでモチベーショ…

日経メディカルCadettoを読んでみた。 いきなり日野原大先生、教養を身に着けよ、ときたもんだ。医者養成学校と化しつつある、医学部に対する批判、私も大いに同意した。 南淵先生は、大学批判と医療行政批判、立ち去り型サボタージュにも言及。この人がどう…

各方面で評判の悪い初期臨床研修です。 これはやはり難しい制度です。 昔大学では、この制度導入直前のことであるが、雑用してくれる研修医がいなくなるのではと危惧していた。 だが俺のオーベンは違っていた。 「雑用してくれないなら俺がするからいい。だ…

 『世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて』

柄谷行人の本を読むのは久しぶりで刺激的であった。内容は、以前から彼が言っている、資本(自由な交換)と国家(略取と再分配)と共同体(互酬)の三位一体を岩波新書向けに平易に書いたもので、まあそれでも例のごとく理解できたようなできないような、という感…

友人結婚式に出席。私の医師友人は私も含めてほぼ全員30歳前に結婚してしまったというわけである。 今どき医師と結婚してくださる女性がけっこういるという事実は驚きである。 勤務医は危険度、過酷度、訴えられ度、拘束時間などの面で全く割りにあわない職…

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/5DC0E6DAEC784F5649256DD70029B153.pdf先日から2ちゃんや各種ブログで話題になっている大阪高裁の判決である。 特に、新小児科医のつぶやきが詳しい。 奈良県の2次救急施設で、救急当直だった脳外科医が交通事故の人を…

産科医療の崩壊が足音を立てて近づく今日この頃です。 またしても警察の介入です。 子宮に穴を空けたあとに、腹腔鏡を選択するのはいかがなものか。産婦人科の世界では適切な選択なのかもしれん。 消化器外科でも腹膜炎手術で腹腔鏡を選択することはある。 …

部内の秩序をうんぬんする前に今回の未曾有の不祥事の責任を誰がどのように取るのかを明確にしていただきたい! おお、南雲しのぶみたいでかっこいいな。 今日は、午前回診、午後麻酔で、雑用はかなり早い段階で片付いていたんだが、夕方のカンファが、上の…

帰宅すると、嫁が今から病院に行くという。肘にちょっとした粉瘤ができていて、感染もあるかもという感じ。 そんなことで夜間に救急外来を受診するものではないと諭すと、「私は今痛いんだから、病院に行ってもいいでしょ!」と逆ギレされた。 一般人の認識…

僻地だけじゃなく、東京の医療も終わってるらしい。 というか崩壊が着々と進行しているようだ。 といってもまだまだ表には出てこない。表に出る頃には焼け野原かな。 それでも俺は田舎の病院で今日もラパコレと胃全摘の前立ちをしているのである。 前立ちは…

今日は待機だワン。 朝から総回診して昼から病院でネットサーフィンです。 例の奈良県の片田舎の母体死亡事件は随分と話題になっておるようだ。 いずれこんなことが起こるのは現場の人間はみんな知っていたし、別に驚くことじゃない。 スタンドアローンの産…

 搬送拒否

いまどき、妊婦の救急なんて産婦人科医以外は関わりたくない。いまどき、脳出血なんて脳外科医以外は関わりたくない。専門外の医者が下手に手を出して結果が悪ければ人生を失うからである。 この妊婦は、妊婦かつ脳出血という、致命的なまでに関わりたくない…

今月から新しい人が来て、なんとなく医者が増えたようだ。 人手不足の科に人が増えるのは嬉しい。 僻地の医療は崩壊しても、地方都市の中核病院が崩壊するのはまだまだ先のことなんだろう。 そんなわけで、午前はフラフラ回診。 午後胃切の前立ち。けっこう…

  文系亡国?

http://medt00lz.s59.xrea.com/mt/mt-tb.cgi/455上のサイトで文系と理系の2項対立が論じられているが、僕にはそんな心の余裕はないですな。 公立病院で働いていると事務方(地方公務員)の無能・無策にイライラさせられることが多いです。2ちゃんねるでも公務…

午前胃切。 午後麻酔。 夕方えらい人たちの会議があったそうな。 麻酔科医減少問題について協議したそうな。協議したら麻酔科医が増えるとでも思っているのだろうか。 で、結論は「がんばってください」だそうな。 終わってるぜ。もう今まで十分がんばったの…

今月から麻酔科医が一人少ないことを忘れていた。それに、麻酔科医だって体調崩したり、夏休みとったりするからな、麻酔科医不足はこれからだぜ。 明日以降修羅場になるな。

 『医療崩壊−立ち去り型サボタージュとは何か』

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か作者: 小松秀樹出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2006/05メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 180回この商品を含むブログ (147件) を見る やっと読んだ。現場のことをよく理解して書いている。2ちゃんねる医…

夕方、麻酔のえらい人の講演会に出席。見事に麻酔にかけられ爆睡。 やはり、麻酔科はオンとオフがはっきりしていて、オンコールの時以外は、院外にいる限り拘束は無い。患者を持たないとこういう素晴らしいことがある。 だから、形成外科、皮膚科に次いで人…

おお、またしてもやってくれたなあ。 運悪く発生した助けようのない合併症まで刑事責任追及するんだね。 そりゃ全くミスが無かったわけじゃないだろうけど、刑事は勘弁してくれだぜ。 この国で産婦人科医やる人間を根絶したいという偉大なる意思が働いている…

午前マターリ回診。 午後雑用。夕方から当直。フジテレビスポンサー不買運動は、まだ続いているようである。 まだ確かな成果が上がるには早いようですが。 まあ、あの番組は、故・川口浩や矢追純一が出てくるようなやつと似たようなものだから目くじら立てる…

今日は、当直だワン。先日、フジテレビで素敵な医者叩きスペシャル番組が放映されており、大変好評だったようだ。スポンサーに製薬会社が入っていたようで、2ちゃんでは不買運動!なんて盛り上がってる。 まあ、私はそんなことも知らずに今日もムコスタ(NSA…

昨日から、『立喰師列伝』が上映されているわけだが、私の棲息する中国四国地方では、一切上映されていない。一番早いところで岡山か広島で5月からだろうか。 こういうときに地方は困るのだが、こういうときじゃなくても地方は困ることばかりである。 だから…